● ようこそ!岡山朝日高校同窓会のページへ! ●
メディアに登場したホットな同窓生をご紹介(敬称略)
曽我 英二(号は「英丘」) (昭和34年卒)  (昭58.4〜平12.3在職 書道)

タイ チェンマイで書のパフォーマンス


「ブレーンレストラン」のあるビル
右下三角屋根が入り口
 昨年12月25日から」新年1月末日まで、タイのチェンマイ市の「ブレーンレストラン」で私ども玉龍会(書・絵画・写真・陶芸・彫刻等・・・芸術の広域をめざし自由と創造性を尊重する会)として、展示会を催した。参加者15名、作品25点をレストランの壁面ギャラリーに陳列して、市民の方々に日本の芸術を観ていただき友好を深めることができた。

 オープニングの日に書の実演を行い、よりよく書の見方を深めて貰おうと計画した。チェンマイで本格的な書作品を見るのは初めてという。初めての方に書をどう見て貰うか、共感を得るにはどんな表現がよいか思案した。ニューヨークやバルセロナではない、チェンマイなのだと。

 ある旅行会社のツアーを利用したので、オープニングの前日、メーサ・エレファント・キャンプを見学する機会を得た。その象のショーの一つに、15頭ほどの親子の象がそれぞれ、われわれが出展した全紙(135×68センチメートル)の1/3大位の画用紙に絵筆に絵具を付けて貰ったのを受け取ってはベタベタベタ・・・とマンゴーの実が5つほど実った絵や、紙面分割よろしく赤・青・黄・・・などのカラーの点描写の抽象作品を、象さん脇目も振らずに楽しげに堂々とものにしているではないか。観客の拍手喝采を浴びると大きな頭をグルグル、長い鼻をブルブルと回して愛嬌たっぷりに答える。仕上がった作品はお土産屋で一枚6000バーツの高値で売れている。わしゃータマランゾウ。

 さて、オープニングの当日、同期の飯氏のレイアウトになる英文作品写真掲載の目録を入口テーブルに配置。彼の司会進行・通訳による開会宣言。開会の挨拶。続いて小生の挨拶。チェンマイで「書芸術」の作品展、「日本画」「写真」の展示ができること、岡山の玉龍会活動のこと、そしてチェンマイの皆様と友好の場を得た喜びなどを簡潔に話す。周りを見ると、タイ人、印度人、イギリス人、フィンランド人、日本人の方々の眼がギョロリとこちらを向いている。単なる好奇心、物見遊山だけの眼ではないぞと直感する。前に広げられた全紙に向き合い、皆の前で感謝と自分自身の精神集中のために気合を入れて一礼、一喝する。
レストラン内で書のパフォーマンス(実技を見せる)
「慈」濃淡による動的表現
(全紙135×68センチメートル)


 揮毫の第一部は日本の心を伝える。「和」「慈」「夢」「一心」「心技体」「以心伝心」「平常心」・・・などを楷書・行書・草書・隷書で文字性作品を強弱・軽重・濃淡・緩急を交えて一点一画気合を込めて表現する。

 第二部は「楽」「龍」・・・を全紙二枚継ぎ大に甲骨文・全文で大きな空間と余韻を考え、濃淡による立体感の表出した表現とする。

 第三部は抽象作品−点と線と空間による作品とした。そのイメージはバンコク上空8000メートルから見た天上界の茜色の夕照。天空世界と地上世界、理想世界と現実世界、私とあなた、自と他、人間と自然、相対して生きている響き合いのすばらしさ、そんな思いを墨痕二点の大小で完結させた。ギリギリの思いである。きれいだけではダメだ。星の輝きの如く、何百キロを流れぬいた流木の如くを脳裏に大筆に託し、法被を着ての約一時間半のパフォーマンス。背中を汗が流れた。

インドの医師は感動した。こんな表現を目の当たりにしたのは初めてだ、感謝するとともに機会を得て又見たいと。沖縄の画家新里愛蔵氏には名人芸を見せて貰った、大変勉強になったとの感想をいただいた。後、テーブルを囲んで更けるまで十数名とチェンマイの会話を楽しんだことである。

 この展示期間中、チェンマイの領事館の方が来られ、その方の厚遇により、終了後、チェンマイ博物館の一室で作品展示ができ、チェンマイ市民に広く見ていただくことができた。さらに、前述のレストランにおいてアンコール展が開催されたと朗報が入った。小石の一投が予期せぬ波紋を及ぼしていることに心から嬉しく思っている。

壁面に飾られた玉龍会員の作品

 朝日高34年卒同期の飯、内海両氏のご尽力と友情に対して心からの謝意を申し上げる。

 編集者の要請により、敢えて執筆した次第。


岡山朝日高校同窓会公式Webサイト