● ワールドリレー ●

世界で活躍する同窓生からのメッセージ(敬称略)

中村 明彦 (昭和41年卒) アメリカ・ケンタッキー州在住

Yellowstone Nat’l Pk
朝日高同窓生の皆さん、こんにちは。
当方、中村明彦(昭和41年卒)です。家内は (旧姓・蓬郷)早代子(昭和44年卒)です。この度同窓会事務局よりのご案内で図らずも同窓会Home Pageへ寄稿させて頂くことと相成りました。思い付くままなんの工夫も無く書きなぐった拙い文ですので皆様の目障りなこともあろうかとは存じますが暇潰しにでも目を通して頂ければ幸いでございます。

当方現在アメリカはケンタッキー州のレキシントン(Lexington, KY)に住んでいます。
何故アメリカに住んでいるのかと言えば、偶然アメリカを見てしまったからです。それさえなければ変わりなく日本に住み続け、定年まで日本の会社で働き続けたことでしょう。新天地で自分の生活を切り拓いてみたいとの欲求がそうさせたのだと思います。


Canadian Rockyにて
初めて海外出張したのが1991年、それがアメリカ(US)でした。何度かUS への出張を繰り返すうちにそこに住んでみたい、そこで働きたい、との欲望が起きて来ました。
インターネットで検索した会社への履歴書送付がスタートしたのは1993年あたりからでした。
然しながら当時はバブルの後遺症が加速されていた時でしたからタイミングとしては非常に悪く、各企業は現地 US法人を縮小、あるいは撤退していた時でした。中年の USでの新規採用なんて検討にすら値しない話で極小数の例外を除いて送付した履歴書に対し梨のつぶてでした。懲りずに送り続けたダイレクトメールは最終的には90〜100通程度にまでなったかと思います。
やがて1999年になって一社から反応がありその US子会社への就職が決まったと言う次第です。
Miami, FLにて

動機は明快ですから駐在(待遇が段違いに良い)か、現地採用(現地人と同一雇用条件)かの選択において迷わず後者を選びました。従って日本からこちら USへは片道切符の積りで移り住んだ次第です。現在は永住権申請の途上に在ります。
2000年の2月に居住者として初めてここ USの大地を踏みしめた時は万感胸に迫りました。咸臨丸斯くありきか!、の心境でした。

時の流れるのは早いものでその感動に浸って以来4年近くが経過しました。言葉の問題、あるいは複雑極まる医療保険制度、退職金の代替としての401K等々外国人を悩ませるには十分な障害が多々あります。困惑すること頻りです。これは15回程度の出張では経験し得なかったことです。
Niagara Falls,CN


では USに失望しているのか、期待外れなのかと問われれば、断然否となります。確かに日本の生活と比べれば不便です。前述の諸問題に加えて価値観、習慣の違いに気を配らねばなりません。でもここUSはそれ等を補って余りあるものを与えてくれます。遥か地平線まで続く広大な大地、180度いっぱいに広がる澄み切った空、細かいことに頓着しない国民性等々日本には無い、あるいは嘗てはあったであろうものを見付けることが出来ます。過度に高度化された日本とは異なりここUSでの生活はより人間的な営みに映ります。毎日をあくせくせずゆったりと過ごすことが出来ます。“おまけ”として北米は当然のこととして、南米、あるいはヨーロッパがご近所です。 グランド・キャニオン、キー・ウエスト、ナイアガラ等はありがたいことに国内旅行です。


 さてさて私事はこのくらいにしてアメリカ事情に触れてみたいと思います。観光場所等の情報は容易に入手可能でしょうから、“現地に住む人間”からの生活に密着した話題をご報告しましょう。
当方の現在の居住場所、Lexington あるいは Kentucky 州をまずご紹介しましょう。
KYの牧場

Kentucky 州(KY)の広さは約103K・km2 で日本の約27%、人口は約4M人ですから日本の約4%となります。州都は Frankfort でその人口は10K人以下です。これ等数字から何を連想されますでしょうか?。やはり広々とした空間を思い付かれるのではないでしょうか。実態はまさしくその通りです。緩やかにうねる広大な牧草地が延々と地平線の彼方まで続きます。N.Y. City、L.A. あるいは Chicago の様な大都会も確かにアメリカです。然しながらそれ等大都会はアメリカではむしろ例外的であり KY の様な農業・牧畜地帯がむしろ平均と言って差し支えないかと思います。
ここ KY は KY ダービーで代表される様に競馬、あるいはそれに伴い競争馬の飼育が盛んな所となっています。州内のどこにいても必ず牧場が視野に入って来ます。またゴルフ場も多く一見しただけではそこが牧場なのか、ゴルフ場なのかとっさに判断しかねるほど周囲全体が緑の芝で覆われています。
My Old KY Homeにて


この風景を楽譜に収めたのが彼のStephen Foster です。My Old Kentucky Home はKY State Song となっています。

競走馬に次いで KY が US 一番となっているのが葉タバコの生産です。そのためここ KY は他の州とは少々異なった特性を持っています。凡そ US はCA 州で代表される様に喫煙制限が殊の外厳しい国です。通常の州では屋内禁煙となっています。レストラン然りです。然しながら KYは愛煙家にとって Heavenです。全席禁煙のレストランは珍しく、むしろ喫煙席が堂々とレストラン中央に配置されています。N.Y.州なんかではタバコ1Cartonが$100 近くするのに対しKYでは販売店によって多少差はあるものの$23〜$25です。


次に我が町 Lexington(LEX)に付いて触れてみます。人口は300K人程度です。これでも KY では Louisvilleに次いで二番目に大きい街です。このLEXという名の街はUS には20ヵ所程度あります。アルファベット数が僅か26しかないせいでしょう、街の名前も人名も非常に多く重複しています。
  



LEX ⇒ Chicago
 380mls/ 600km
 
LEX ⇒ N.Y.City.
 00mls/ 1,100km
 
LEX ⇒ Miami
 1,65mls/1,700km
 
LEX⇒New Orleans
  750mls/1,200km
 
 
 
ここLEX周辺は自動車メーカー、特に日系メーカーが数多く進出しています。
LEXすぐ傍の町ではTOYOTAが、北東隣のOhio州ではHONDAが、北西隣のIndianaではやはりTOYOTA、そしてSUBARU/ISUZUが、南隣のTennesseeではNISSANが地域の雇用、産業に大いに貢献しています。
これ等自動車メーカーは自動車産業が飽和、且つ組合の強すぎる北部地域(Detroit, Michigan等)を嫌い中西部(MID-WEST)から南部へとシフトしています。
この様な日系メーカーのお陰で、特にここLEXではトヨタが存在するため、現在当方が勤務の会社を含めて日系外注メーカーも数多く稼動しています。

当社遠景
そのせいもあり田舎の中規模の町にしては珍しく日本食レストランも10軒近くあります(約半数は中国人、韓国人の経営ですが)。また同様にAsianあるいはOriental Grocery もそれ以上にあります。お陰さまで朝、昼、晩とすべて家内の料理する日本食で過ごすことが出来ます。なんと言ったって民族の差異は先ず言葉、そしてその次が食習慣でしょうから。
日頃は仕事が終わればまさに伝書鳩の如く真っすぐに帰宅します。車での通勤だからアルコールが駄目ということではありません。アルコールは“一定限度以下 ⇒ 個々の尺度 ?”ならば運転は認められており外食時特に気にすることなく楽しんでいます。では何故“途中下車”することなく帰宅するのか、と言えば、その様な場所は皆無だからです。スナック、クラブは無論のこととして喫茶店の類すらありません。また日本とは異なり自分の仕事が終われば自分の判断でさっさと退社するからです。
Blue Grass Music

4時半あるいは5時と個々の帰宅時間が来れば会議途中であったとしてもSee You, Tomorrow です。集団行動が社会習慣となっている日本からみれば羨ましく映るのではないでしょうか。これ等事情により“好むと好まざるとを問わず”直帰せざるを得ないこととなります。当方はこれはこれで結構かと思っています。途中下車は日本時代に十分に堪能しましから。その分Have a Nice Week End!の言葉通りに週末が楽しくなりました。家内との会話も日本時代以上にぐっと増えました。いつも一緒、と言っても過言ではないでしょう。


 別ページは当方がこちらへ移り住んで以降日本の友人たちに勝手気ままに送っている生活密着型アメリカ通信、名付けて“いと面白きこと”シリーズの一部です。今回は紙面の制限もあり若干ダイジェスト版に改定していることはご容赦頂くとしてご笑読下さい。
 尚、当該シリーズに興味ある方はご遠慮なく下記Addressまでご連絡頂ければ幸いです。入会金、配信料は、そうですね、当方の寿命が尽きるまで無料とさせて頂きましょう。
またアメリカに付いて、旅行の件でも、習慣の件でも疑問があれば何でもどうぞご遠慮なくお問い合わせ下さい。分かる範囲で、もし分からなければ当地の友人に聞いてでも極力お答えしたいと思います。朝日高、そのいつくしき学び舎の同窓生として。

中村 明彦
nakihiko@earthlink.net
224A Shriners Lane, Lexington, KY 40502

我が家近傍 我が家 Back Yardにて 我が家正面

「いと面白きこと」のページへはこちらから

 
岡山朝日高校同窓会公式Webサイト