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世界で活躍する同窓生からのメッセージ(敬称略)
三宅 エリナ    (平成22年卒)  カナダ
 【全てのことに、意味がある】
シャンドス湖にて、うさぎ「びの」と一緒に写る筆者

 こんにちは。H22年卒の三宅エリナです。私は、カナダの事務所に所属する映画俳優です。
・・・といっても、これまでの道はでこぼこ、ぐにゃぐにゃで、外国人として海外で役者になるまでに、かなりのプロセスと年数がかかりました。「どうしてカナダで俳優に!?」とよく聞かれるのですが、それについては新聞記事などと重複するので、ここではもっと面白い話を。
 みなさん、「今思うと、あの時のあれは、こういうことだったのか〜!」という経験、ありませんか?今日は、そんな不思議な出来事のお話をさせていただきます。

【カナダに着いた当日に、○○に出会ってしまった!】

 限りある人生。一日も無駄にしたくなかった私は、カナダ(東海岸トロント)に初めて到着したその日に演技クラスを受講しました。現地では、プロアマ関係なく、演技スキル向上のためにクラスを受けます。いわば「演技のジム」のような場所です。そこに飛び込んだ20歳の私。
 ただ、そこで大きな難点が!高校時代、私の英語の成績はそこそこ良かった(それに、奇跡的に発音まで良かった)ので、自信満々で飛行機に乗り込んだのに・・・現地の英語が全くわからない!!!クラス中、内容があまりにも理解できず、頭の中がぐるぐるして、めまいがしそうでした。まるで夢の中にいるような、異世界感覚。「やっちまったなぁ〜」 と思いました。でも、「あの子さっき日本から来たばっかりなんだって!!」的なことで、クラスの注目を浴びていることだけは分かりました(笑)

カナダ生活が始まったばかりの頃の筆者と親友のミシェル
 かなり不安なカナダ生活1日目。でもこの日は、私にとって特別な日になりました。実は、演技クラスに着いたとき、隣に座っていたのがミシェル。とっても美人で優しくて、絶望的に英語ができない(プラス、美人を目の前にしてテンションが上がり、余計にしゃべれない)私に対して、ずっと辛抱強く会話を続けてくれました。彼女とは、その後も何度も会い、今では大親友です。
 後で分かったのですが、出会った時、お互いに運命を感じていたようです(照)
もしクラスを受けるのが1日でもずれていたら、彼女に会えていなかったかもしれない。あの時、勇気を出して飛び込んで、本当に良かった!カナダに降り立ったその日に、とても特別なご縁をいただいた話です。

【今でも私の演技を助けてくれている、則近先生の古文】
 演技を勉強していて思うのは、いかに「その人物のサブテキスト(文章に隠された想い)」が大事かということ。英語で、しかも欧米文化で書かれた脚本上でサブテキストを探し出すのはとても難しいけれど、しばらくするとクセになってきて、普段人と話をしている時も、「この人のサブテキストは?」と常に考えるようになりました。そして最近、ふと思ったことがあります。「あれ?これ、古文と似てる!」
 私は高校時代、則近彰先生の古文の授業が大好きでした。・・・いや、厳密にいうと、最初は興味がなく、授業で寝てばかりいました。でも、一旦仕組みを理解すると、先生の授業がどんどん面白くなっていき、徐々に則近ワールドにのめり込んでいったのです。古文の授業では、古い時代を生きた人たちの作品を読みます。そこには、言葉にしきれないどうしようもない気持ちが、言葉の間に隠されている。しばらく文章と睨めっこしないと、その本当の意味がわからないんです。でも、隠された想いが分かった瞬間、頭がパカっと開くような気持ちよさがある!この経験を通して、「文に隠された心理を読み取る粘り強さ」が育ちました。
 まさか古文の授業が、カナダで役者をする上で生きてくるなんて、当時思いもしませんでした。これもまた、「今思うと、あの時のあれは、こういうことだったのか〜!」のエピソード。
グリシャ先生のクラスメンバーと

【カナダでも恩師に出会う】
 演技といっても、いろんなやり方があって、私がいたトロントでも、沢山の演技クラスが存在します。ご縁でグリシャという先生に出会い、彼のおかげで、私は初めて「演技ってこれのことか!」と腹落ちする感覚を覚えました。心の底から役を演じるには、自分の心と深くつながっていないといけません。
 ということは、自分が今まで一番恐れてきたことなど、蓋をしてきたネガティブな自分とも正面から向き合わなければいけません。そうやって心の殻がどんどん剥けていって、初めてシーンで「生きる」ことができるのです。これまで、パーティーなどで「泣くふりしてみて!」「怒る演技してみて!」と無茶ぶりされたこともありますが、それは役者に絶対言っちゃだめ!(笑)
 役者は、私の知る限り、自分の感情を真っ直ぐに見つめ続けている人間たちです。演じて泣いているんじゃない。本当に心が泣いているんです。だから、泣くフリなんてできないんです。嘘も下手くそな人が多いです。
 グリシャは、当時英語がまだまだ微妙なレベルだった私にも容赦はせず、厳しく(でも愛情をもって)育ててくださいました。おかげで、私の演技力はどんどん鍛えられていきました。
備前国総社宮で巫女舞を舞った後の筆者。
甥、夫、息子と。

【沢山の体験をプレゼントしてくれたカナダ・そして次なる挑戦】
 カナダで、ジャマイカ人の夫に出会い、うさぎの「びの」とも出会い、今では息子もいます。家族ができました。
 移民の国カナダ。聞いたこともない国の人と友達になったり、いろんな人種の人がいる撮影現場で映画に関わったり。沢山の刺激をくれた、私のセカンドホームとも言えるカナダ。でも、長く海外にいると、今度は自国・日本の良さが分かってくるんです。
 日本の食、日本の家族、日本の風景、日本の神社・・・それらを想って何度泣いたことか(笑)
 そんな大好きな日本で、私は映画づくりに挑戦しています。テーマは「お米」。
 去年、私は「農家が減少していて、日本の農業が衰退しつつある」という悲しい現実を知りました。私には映画のことしかわかりません。だから、農業や食に携わる方々にヒアリングをして、ストーリーを作っている最中です。
 この映画を、地元・岡山で撮影したい!そんな想いで、企画を進めています。映画には、人の心を動かす力がある。日本とカナダが育ててくれたこの感性をフル活用して、心に響く映画を作っていきます!ぜひ、楽しみにしていてくださいね。
 そしてもちろん、これからもカナダと日本を行き来しながら、女優として(そしてママとして!)全力疾走していきます。朝日高校の先輩・同級生・後輩のみなさんと繋がり、母校愛♡を広げていけたら嬉しいです。これからも、どうぞよろしくお願いします!

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