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国内で活躍する同窓生(敬称略)


船守 秀一 (昭和52年卒)    岡山県在住

「スローミュージックで地域の音楽文化を」

岡山に帰ってから。総社の古民家でのイベントにて。

 同窓生のみなさん、こんにちは。昭和52年卒の船守秀一と申します。音楽のアレンジやプロデュースの仕事をしております。


 私が在校生だった頃の朝日高校には、音楽の部活動は活発ではなかったと記憶しています。中学生のときにかじったギターが高じて、ロック・バンドなんぞをやっていた私は、文化祭でグイグイとエレキギターを掻き鳴らしたりしておりました。留学生(ポーラという名前だったと思う)に英語で「They are The Crossroad Blues Band!!」と紹介してもらった記憶はいまだに鮮明だったりします。私たちの世代のミュージシャンたちは、現在はいろんな音楽をやっていたとしても、高校生や大学生のときに触れた刺激ある音楽の、ほぼ同じようなものを通っているんです。それが世代的な特徴かなぁ。。

音楽の仕事仲間で結成したバンド。
”Warm"といいました。
早稲田大学
モダンジャズ研究会
リサイタルチケット

 一浪して<都の西北>に入学してからは、ベーシストの鈴木良雄氏やギタリストの増尾好秋氏を輩出したモダンジャズ研究会(通称ダンモ)に所属してジャズなんぞを演奏し始めました。そう、かのタモリ氏が在籍していたことでも知られます。鈴木良雄氏はタモリ氏に「マイルスのトランペットは泣いているけど、お前のは笑っている。だから司会をやれ」と言い放ったということは、今でも語り継がれる逸話です。でもその結果、お笑い界に君臨する大スターとなったのであります。OB会で何度かご一緒しましたが、とっても、とっても優しい素敵なお方です。【注】マイルスとは、マイルス・デイヴィスというジャズ界の伝説的なトランペッターです。


 さて、在学中からサポートのギタリストの仕事をスタートし、そのうちにアレンジメント(編曲)分野をメインにするようになりました。アレンジャーとしてはレコーディングやコンサート・アレンジの他、各種CMなども手掛けて、多忙な毎日を過ごしておりましたが、気がつくといつの間にか東京・横浜に住んでいる方が岡山よりも長くなってしまいました。

また、横浜(緑区・青葉区)に移り住んだ頃には、多くの音楽好きな人たちとコミュニケーションを取るようになり、草の根からの音楽文化に寄与することから端を発して、「スローミュージック」と名付けたムーブメントに力を入れるようになりました。ここでいう「スロー」とは、単に「ゆっくり」を意味する「スロー」ではなく、例えば「スローライフ」というときに使う、「エコロジカル(自然や環境と調和して身体によく)」で「サスティナブル(持続可能な)」な意味合いでの「スロー」です。音楽に置き換えると、「オーガニック(アコースティック系)」ながらも内容の濃いもの、個性あふれるオリジナルなものと捉えます。うわべでは聞きやすいものでも、その中にはいろんなエッセンスが凝縮されている。そうでなければ「サスティナブル」にはならず、すぐ飽きられてしますもんね。いろんな理由でプロの世界には踏み込まなかったものの、頑張っている素敵な草の根アーティストたちの作品を手掛けたのもこの頃でした。


横浜で「100万人のキャンドルナイト」という
ムーブメントに賛同したイベントを催していました。


 
 100万人のキャンドルナイト公式サイト <https://candle-night.tokyo> 


 私は元来、人混みが苦手でした。そして、だんだんと首都圏の生活は息苦しくなったなぁと感じる頃に、3.11の震災が起きました。大学で上京して以来、いちばんの揺れでした。このことが、立ち止まっていろんなことを考えるきっかけにもなりました。「立ち止まってみる」は、いわゆる「スローネス」の極意です。


 幸い、音楽の仕事もオンラインである程度できる時代にもなっていたので、年寄りの介護も兼ねて、実家に戻ることを決意しました。いざ帰ってみると、高校生時代の活動範囲くらいしかわからないままだったので、まるで浦島太郎のようだと笑われもしましたっけ。でもせっかくだから、自分の経験を地域の音楽文化に役立てようと、岡山でも「スローミュージック」を推進しようと思いました。


さらに、言い出しっぺの私が何もしないわけにもいかないと、ストリングス・カルテットを要する「ふらここオーケストラ」というグループを結成しました。そして、この地域ならではのオリジナル・スローミュージックを演奏し、広く呼びかけています。「地域ならでは」という考え方は、首都圏に住んでいるときよりもわかりやすいものだと感じています。


例えば、岡山の素敵な光景はと言われれば、「後楽園や倉敷の美観地区よりも王子が岳から見下ろす瀬戸内の夕暮れだ」と、何度か言われたことがあります。それを知っている人が作る音楽は、きっと都会の雑踏で生きる人たちとは微妙に違うんだと思ったりするんです。そういう意味では「おかやまスローミュージック」から「瀬戸内スローミュージック」へと広がっていけばいいなぁ。。。果たして、どのような音楽が生まれてくるのか、どういう人たちが聴いてくれるのか、そんなことを考えるだけでわくわくしちゃうんです。そのためにはオリジナルを作って演奏してほしい。歌ってほしい。非力ではありますが、これからも精一杯頑張ろうと思っています。


 コロナ禍ではいろんな活動がストップしてしまいましたが、やっと動き出す気配を感じる今年、11月30日にルネスホールにてコンサートを催すことが決まりました。「ふらここオーケストラ」には、朝日高校出身の後輩も在籍しています。みなさん、ぜひ、私のいう「おかやまスローミュージック」を味わいにいらっしゃいませ。


 ちなみに「ふらここ」とは「ぶらんこ」の古い呼び方。ゆらりゆらりと揺れるのです。でもね、中心はしっかりしていないと何処かに飛んで行ってしまいますよね。まるで人生のようでしょう。高校生時代、古文や漢文に悩まされていた私が、このような名前を考えるなんて、我ながら面白いなぁと思うのでありました。


岡山で結成した「ふらここオーケストラ」

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