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世界で活躍する同窓生からのメッセージ(敬称略)
太田 哲生  (昭和59年卒)  タイ バンコク

微笑みの国 タイ

<初めに>
ワット・ポ−にて


 早いもので、卒業後、30年以上経ちました。朝日高校では、バスケットボール部に所属。厳しい乍らも、自由、且つひた向きに汗を流していたのが懐かしく思い出されます。
 今回寄稿のお声掛けを頂きましたので、望外に長年携わってきたタイの現況、並びに雑感等、思いつくまま書いてみたいと思います。

1. タイとの縁・繋がり

 タイとの繋がりを辿って行きますと、今から28年前の大学卒業旅行まで遡ります。生まれて初めての海外旅行、それも一人旅の行き先がタイでした。
 当時、アジアの時代と言われ始め、日系企業も我先にアジアに拠点作りを開始した時期でした。何と無く面白そうだし、一度自分の目で見てみようと思い立ったのが切欠です。ここまで深く関わることになるとは正直、思ってもいませんでした。
 一人旅は、タイ南部サムイ島を目指し、バンコク中央駅から、夜行列車でトコトコ行く学生旅。当時、サムイ島には簡素な素泊まりバンガローしかなく、滞在中、日本人と会うこともありません。世界的なホテルチェーンがこぞって巨大リゾートホテルを建設している今の姿は想像だに出来ませんでした。
アユタヤ王朝時代の遺跡、ワット・プラ・シー・サンペット、3つの仏塔で有名



 暑さ、匂い、喧噪等、日本とは違う圧倒的なエネルギーを感じながら、初めてのアジア、タイを満喫して帰国しました。
 大学卒業後、銀行に就職。国内営業を経て、タイ語語学研修の為、タイへ。
チュラロンコン大学での1年弱の語学研修を経て、銀行の国際部へ戻りました。
 同じ頃、タイ政府は、自国の金融マーケットを外資金融機関へ開放する政策を順次進めており、長年凍結していた外国商業銀行向けのフルブランチ免許を新規発行する方針を打ち出しました。欧米・アジアの金融機関の間で、免許獲得競争が展開され、タイ担当だった私は、何度もタイへ出張しておりました。1996年、無事ライセンスを獲得。翌年1997年支店開設を果たしました。そのまま家族共々、タイに赴任したのが、丁度20年前です。
 赴任当初は、所謂、アジア通貨危機の真っ只中で、ヘッジファンドによる大量のバーツ売りに政府側が抗しきれず、為替レートが、日々ジェットコースターの如く変わっており、担当していた日系企業の方々と、どうやってこの局面を乗り越えるか懸命に考えていたのが思い出されます。
 1996年から5年余り滞在し、一旦帰国。 2013年から、3度目の赴任機会を得、早や4年経ちました。ちょうど今年で、在タイ通算10年を超えることになります。



2. タイの文化・生活

 私にとって、第二の故郷と言っても良いタイですが、日本、日本人との結びつきは、非常に深いものがあります。

ワット・ポー 涅槃像
 (1) タイと日本との関係
 最近伸びが鈍化したとは言え、日本からタイへの累積海外直接投資(1985年〜2016年)は、8,819件、3.4兆バーツ(約10兆円)と、タイへの投資の約4割を占め、国別トップです。また、タイへ進出している日本企業は1,715社(日本商工会議所登録企業数、2016年4月現在)で、引き続き増加しております。
 中でもトヨタを始めとした完成車メーカーとそれを取り巻く自動車関連産業の裾野は大きく、経済的に見て、両国は切っても切れない関係にあると言って良いと思います。(日本車の生産シェアは77.5%(2016年))。
 また、在留邦人は届出ベースで67,000人(2015年10月現在)を超え、長期出張者を含めると10万人を超えると言われています。
 日本人学校も、バンコク校と東部シラチャ校を合わせると3,098名(2016年5月現在)と上海を抜いて世界1位の規模になりました。
 文化生活の面でも日本、中でも日本食文化は浸透しており、日本食レストランは、市内に2,700店舗強。週末ともなると家族連れのタイ人で一杯になります。又、タイ料理も辛いながらも、日本人にとって食べやすく、病みつきになる人も多いです。美味しいイタリア料理の店も多く、日本・欧米に比べ超一流店は然程無いとは言え、食の集積、コストパフォーマンス等を考えるとおそらくアジア随一の食道楽の街ではないでしょうか。
 2013年7月から、日本での短期滞在につき、ビザ免除となったことを受け、日本への旅行者も急増しています(2016年は90万人超。)。
 色々な面で、ここまで相思相愛の国は正直他に無いのではなないかと思います。

 (2) 日本との違い
ただ、日頃の生活を通じ、日本・日本人との違いを感じさせられるもの事実です。
 タイ人は、ほとんどの人が敬虔な仏教徒で、容姿も近いので誤解しがちですが、日本人とは考え方が異なることが幾つかあります。
 中でも、タイの人は、前世、来世を念頭においた輪廻思想が考え方のおおもとにあり、前世からの善徳(ブン)・悪徳(バープ)の積み重ねで、今の自分があると考えています。来世の向上の為、少しでも徳を積むことをする訳ですが、今の自分はもはやどうしようもないと諦めている節もあり、日本人からすると、何事にも諦めやすく、刹那的、曳いてはいい加減と感じてしまうことがあります。
 逆に、タイの人からすれば、なぜ日本人はそれ程までに今に執着し、日々イライラしているのかと訝っていることも多くあり、思いがすれ違ってしまうことが侭あります。
 又、タイ王室に対する深い敬愛も、タイ人にとって大変大切なものです。昨年10月に、先のラーマ9世が在位70年の後、御崩御されましたが、タイの老若男女、皆さんが心から悲しむ様子を見るにつけ、「国父」を亡した悲しみ・喪失感の大きさを、至る所で感じさせられます。

3. 最後に

 当地に足掛け20年関わり、今の職場で長年一緒に支えてきてくれたタイの同僚達からは、国を超え、しっかり繋がりを持てることも教えられました。支えてきてくれた彼らたちの為にも、タイへ少しでも貢献出来る様、引き続き、微力を尽くしたいと思う日々です。
 お互い見ず知らずでも、ふと目が合うと微笑んでくれる、そんな優しさに溢れるタイ。日々変化しているこの国ですが、そんな優しさ、大らかさは変わらないでいて欲しいものです。

 2017年は、日タイ修好130周年を迎え、益々関係が深まるものと思います。
 皆様も、機会あれば、ぜひ一度お越し下さい。

アパート最上階からの市内近景、レジデンス、ショッピングモールの建設は継続 バンコク市内夜景


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