3年前にコンサルタント会社を立ち上げ、現在は温州、上海などの中国企業に工場の生産管理・IT・現場改善の指導を行っています。
【中国の現状】
中国の温州で仕事を初めて3年になりました。その前には3年程上海に住んでいましたので、中国生活も7年目になります。
最近の中国ですが、気になるのが「尖閣諸島問題」だと思います。
温州は尖閣諸島と目と鼻の先にありますが、大規模なデモが起こっていた時にも特に何事もなく過ごすことができました。
2005年に起こった上海の総領事館襲撃の時も上海にいましたが、特に危険な目に会うこともありませんでした。
ただデモが治まってから見た総領事館はひどい有様で、ショックを受けたことを覚えています。
日本で繰り返し報道され、中国全土で起こっているかのようなデモですが、一部で行われているだけで、政府の許可のもと行われています。
中国ではFacebookやTwitter、YouTubeには規制がかかりアクセスすることができません。それに加え尖閣問題のあと日本のドラマの翻訳サイトなども見ることができなくなりました。
欧州債務危機やデモの影響などで中国も今までのような高成長は望めなくなると思うので、新しい中国の指導者はこれからどのような方向へ導いていくのか、大変興味があります。
【温州の紹介】
温州は中国沿岸地域の中部、浙江省の東南部にあり、浙江省南部の政治、経済、文化の中心です。
といっても日本人にはあまりなじみがない地名だと思いますが、2011年に起こった「中国高速鉄道事故」があった場所です。
気候はほとんど岡山と変わりません。ですが夏は暑く冬は寒い、また春先には雨が延々と降り続き、暑い季節に長期に留守にすると部屋がカビだらけになります。
温暖な気候のため農作物も豊富です。また山が多いせいか上海などに比べて水がきれいです。
温州人は商才に長けていています。このことから「中国のユダヤ人」と言われることもあるようですが、会社の規模は、たいていの場合中小企業です。
ですが※1「白天做老板,晚上睡地板,还要看K板」と言った温州人を表す言葉があるように、チャンスとネットワークを駆使して財を成すことに努力を惜しみません。
地元の人の話ですが、昔の温州人は中央政府の言うことを聞かないので、この辺りの人全てが移住させられ、今の温州人というのは福建省から移住させられて来た人だそうです。
あくまで言い伝えらしいですが、何人もの人から聞きました。私の通訳をしている人も温州人ですが、戸籍は福建省だそうです。
仕事で色々な工場を見て回りましたが、温州の起業家魂には脱帽です。アメリカのシリコンバレーが、IT企業を生む風土があるように、この温州には起業家を育てる風土があるように思います。
温州商人はリスクを恐れません。そこにビジネスチャンスがあるとわかればすぐに駆けつけ、積極的に商売に励みます。また、温州人は失敗を恐れず、富や財産を追い求めるためには妥協もせず、不断の努力をするそうです。
温州商人のことを知りたい方は、以下のリンクを見てください。
http://www.explore.ne.jp/feature_pr/bros.php
※1「白天做老板,晚上睡地板,还要看K板」日本語訳→「昼間は社長をやり、夜は床に寝て、それでも勉強する」
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温州市の夜景 |
温州のショッピング街 |
五馬街 温州の有名な観光地 雁荡山 |
【仕事のこと】
大学を卒業し、オムロンに入社してから退職するまでの23年間、生産管理の仕事に携わってきました。
2003年頃から中国での仕事が多くなり、オムロン上海を立ち上げるにあたり上海に単身赴任することになり、そこで中国企業との縁があった関係で駐在終了後、1年ほどしてから会社を立ち上げ中国企業のコンサルタントをすることになりました。
現在はメインが温州の企業、あと上海の日系企業などのコンサルタントを行っています。
中国で仕事をし始めて一番大変なのは日本人と中国人の考え方の差です。あと通訳の質も仕事を左右します。納得するまで話して仕事を飲みこんでもらうのが一番力がいるところです。
それでも指導したことは一度では定着しないので、何度も何度も繰り返し指導しないといけません。根気と忍耐力の勝負です。
カンブリア宮殿に出演しました。と言っても上海で指導を行っている企業にカンブリア宮殿の取材が入り、昨年の1月5日放送の「日本人よ、世界で戦うサムライたちを見よ!」
で指導している様子がほんの少し紹介されました。
2日間取材がありましたが、少ししか登場しなかったので拍子抜けしましたが、全国放送に出るのはこれが最初で最後かなと思っています。(笑)
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カンブリア宮殿の放送の一コマ |
「中国儀器儀表(計測機器)協会」での講演風景 |
【今後の日本】
海外で仕事をしていて思うことですが、今後、日本の大企業はグローバルで勝たなければ生きていけないと思います。
日本だけに留まっていては、今後の成長が望めないように感じています。
特に、この中国の発展は目覚ましいものがありますが、これは東アジアや南アメリカも、今後、中国と同様に発展していくと思われます。
このチャンスを逃すと、日本の発展がまたさらに遅れ、失われた30年になってしまいます。
私の友達で、システムプロジェクトマネージャがいます。若干30歳の中国人ですが彼は中国語(母国語)、韓国語(第2母国語)、日本語、英語が喋れます。
中国の外資企業や国内企業で活躍しています。グローバルで戦える人材だと思います。
カンブリア宮殿の取材を受けた家具メーカーの総経理も日本人ですが、英語、中国語がペラペラです。フランス語も少し喋れます。
今後の日本の生き残るためには、若い時から外国語を使えるようになることだと思います。
朝日高の高校生のみなさんには、特に英語をしっかり勉強して、使えるまでになっていただきたいと思います。将来の日本を背負って立つ人たちですので!
それから、貪欲になることです。最近、草食系の人が多いと言われていますが、海外に出ると、そのような人は、置いておかれてしまいます。
中国も含め新興国の人は、目がギラギラしています。学ぼう・儲けようという気持ちが強く、いわゆる肉食系です。
何事にも、貪欲で何かをしようと思うことが大切だと思います。(温州人から学んだことかもしれません)
最後に、私は高校時代からハンドボールを始めました。それがきっかけで大学でもハンドボール部に入りました。いわゆる体育会系ですね。
そこで学んだことの一つに、酒の飲み方・飲まされ方があります。これは今でも役に立っています。中国の人とはお酒を飲んで親しくなることが大事です。
年を取って若い時のように飲めませんが、負けずに張り合っています。語学は堪能ではないですが、お酒ではグローバル?にまだまだ勝負ができそうです。(笑)
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指導先工場の日本語教室のメンバー 日本のアニメを良く
知っているので、 中には少し単語を知っている人もいた。
また、大学の時、第2外国語で日本語を選んでいる人も |
ある工場のシステム導入のキーユーザー
25〜30歳が多い 若いメンバーである。 |
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