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世界で活躍する同窓生からのメッセージ(敬称略)
入江 英二  (昭和54年卒) ベトナム・ホーチミン市

ベトナムから

 SongBeゴルフ場にて筆者

  はじめまして、昭和54年卒業の入江英二です。
   ベトナム・ホーチミン市に住み始めて2年半が経ちました。

 大学卒業と同時に中堅商社に就職し、東京で繊維関係の営業職をしながら途中香港に4年、上海に2年駐在しました。

 3度目の駐在地は初めての単身赴任で、それまで縁もゆかりもないここホーチミン市となりました。

  今まで経験した商社の海外事務所と違い、現在は100%出資する縫製工場の社長を務めています。 弊社では日本のデパートなどで売られている婦人服を生産しています。
 

◆気候

 ホーチミンの気候は温暖で1年中最高気温は30度以上ありますが、日陰に入ると涼しいですし、 朝晩は適当に気温が下がるので意外と過ごしやすいです。 正直なところ冬の寒い時期に日本に帰るのがつらいです。

◆ベトナム人

 以前駐在していた地域と違って反日感情はほとんど感じません。歴史がどうこうという以前にその理由は人間性にあると思います。 南国特有の、細かい事にこだわらないおおらかな性格。そういう意味では本当にいい人たちです。逆に少し悪い面を言うと、計画的な行動が少々苦手です。

市場の風景(フエ)

 ここホーチミンでは千年・二千年の昔から冬に備えるという習慣がありませんでした。日本でも中国でもヨーロッパでも冬に備える事は非常に大事で、食料の採れない冬を過ごすために人々は色々と準備してきたと思いますが、ここホーチミンでは違っていたのです。

 空腹を感じたら一年中そこら辺りの果物を採って食べる事が出来ますし、家がなくても凍える事もなく、雨季には毎日嵐のような雨風となりますがおよそ1時間で止む事を知っていますし、 そもそもホーチミンがあるベトナム南部には台風は来ません。要するにその昔から計画的行動は彼らには必要なかったと思います。いつまでにこれをやらなければいけないという行動パターンは彼らのDNAには刻まれていないと思います。

 何を言いたいかというと、仕事の上でお客さんとの納期を守る事はここホーチミンでは最大の難事業なのです。 ただし手先はとても器用です。ベトナム刺繍は有名ですし、色々な物を修理して使用するのは彼らの得意技です。街の道端で営業している靴修理屋さんでも、底が丸ごとはがれてしまったような靴でも安価で手縫いで修理してくれます。

 またベトナム戦争終結がつい36年前だったという事が影響しているかもしれませんが、助け合いの精神は徹底しています。 社員のお父さんが入院したから募金を集めるという行為は本当によく見られます。

 東北大震災後のある日、社員代表が私のところにやって来て社員全員が1日分の給料を出し合って寄付したい、金額は少ないがぜひ日本に送って欲しいと申し出てくれました。 その頃の日本人の心理としては当然のこと、本当に涙が出そうなくらいありがたく感じました。
 

日常的なバイクの洪水と大きな束の電線(ホーチミン)

◆バイク

 ホーチミンに初めて来た方々が必ず驚かれるのがバイクの多さです。 街中にバイクが溢れており、まるで湧き出てくるような感じです。1人1台が基本のようですが、時には家族4人で1台のバイクに乗って移動している様子を見かけます。

 ちなみに小学生以下の子供は乗車人数に数えないのでこれは違反ではありません。発車時刻や路線が決まっているバスなどより、自由な行動が出来るバイクの方が彼らに合っているのは間違いないと思います。

 

バイクで何でも運びます(ダラットにて)

一寸法師はベトナムから?(ニャチャンの漁港で)

◆食事

 食事は全般的においしいです。唐辛子をそのままかじるのもこちらの人の習慣で小生も時々真似しますが、それ以外ほとんどの食事は日本人にとっておいしいと感じるものだと思います。

 店によっては衛生状態のよくないところもありますので、実体験される方はそれなりにご自分で判断をお願いします。 実は小生 3度食中毒で点滴を受けました。

 ただし初めてホーチミンに来た出張者と2人で食事し小生だけが食中毒になったという経験もありますので、食事内容そのものよりも体調など外的要因の方が重要かもしれません。   


◆リゾート

 あまり一般の日本人にイメージはないかもしれませんがビーチリゾートはベトナムの売り物です。地図をご覧いただければ一目瞭然、とても長い海岸線があります。

 1泊2日で行ける場所はもう飽きたから今年の社員旅行は2泊3日にして欲しいと社員から懇願されて行ってみたのですが、その先にあったのはやはり海でした。

 最近はゴルフ場の開発も盛んです。小生が普段よく行くのは市内から30分くらいの場所にある2つのゴルフ場ですが、それ以外にも増えてきています。

 プレーヤーは韓国人、台湾人、日本人が多いのですが、最近特にベトナム人プレーヤーが増えています。ベトナムでもご多聞にもれず不動産や株などで金銭的に余裕ある人が増えて、そのような人たちの社交場となっているようです。  

サイゴン川を渡るバイク専用フェリー(ホーチミン) ホーチミン市の夕暮れ

 

ホーチミン市中心を流れるサイゴン川と新築マンション群

◆ベトナム語

 無理難解なのがベトナム語。アルファベットの上に山や谷がついていたり、イントネーションを表すような記号がついていたり... ベトナムはその昔二千年近く中国に支配されていた時代があり、中国から見た場合広東地方のその先の方言がベトナム語だったようです。

 当然のごとく当時は漢字が使用されていて、世界遺産になっているような古い建物を訪れると全て漢字で表現されています。 それが第2次世界大戦前の約100年間、フランスに統治されている時に漢字の使用が禁止されたそうです。

  そしてベトナム語の発音だけを表わす記号として現在のベトナム語アルファベットが開発されたそうです。(アルファベット29文字×6声)つまり雑誌や看板で見るベトナム語表記は、発音記号そのものなのです。 ひと通りのルールを覚えれば意味はともかく正しく発音する事は出来ます。

 それにしても漢字を廃止したフランス人を恨まずにはおれません。  以前広東語、中国語を勉強した者にとっては漢字で覚える事が出来れば断然学習しやすいし筆談も可能なのに、と思う次第です。 ベトナム語と漢字とを対比する辞書もありますが、完全ではありません。  まして現在漢字を知るベトナム人は中国語・日本語を勉強している一部の人を除いてほとんどいないと思います。 何とも壮大なもったいない話だと感じております。

 下記の言葉はベトナム語ですが、日本語と発音が似ています。 ローマ字のつもりで想像していただければやはり日本語とベトナム語と、ルーツは同じなのだなと納得していただけるのではないでしょうか。

     
     

(ベトナム語のYとI、またTRとCHはほぼ同じ発音です。)

 

ベトナムで一般的な湿地帯
こういうところ埋め立てて街を作っています(フエ近郊) 

◆少しだけ経済

 ホーチミンではここ数カ月消費者物価指数が昨年同期比20%超と異常な数値を示しています。 それに伴い人件費も上昇を続けており、ストも頻発しております。

 法律で決められている2012年の最低賃金は2011年比29%も上昇し、しかも2012年 1月まで待てず3ヵ月前倒しの今年10月1日から強制実施されました。 構造的な貿易赤字、止まらないインフレ、物価上昇、それに伴う賃金上昇、などなど。

 経済面では問題山積ですが、ベトナム全体の人口8600万人、平均年齢は30歳弱と言われており、まだまだ将来が楽しみなところである事は間違いありません。

 以上でベトナム・ホーチミン市の紹介とさせていただきます。
 皆様のご健康を祈念いたします。 

 



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