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ERIAのオフィスにて筆者
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双日(株)インドネシア法人からEconomic Research Institute for
ASEAN and East Asia(通称ERIA)なる国際機関に2009年1月より派遣されています。
ERIAはASEANサミット、東アジアサミットに対しASEAN事務局と共に各種政策提言を行なう経済研究所として2008年末より活動を開始しました。
当初は100%経済産業省が資金負担していましたが、現在はインド、オーストラリア、ニュージーランドからも資金提供を受けています。
研究のテーマとしてはインフラ整備、貿易障壁の撤廃、バイオエネルギー、食料、環境などいろいろあるのですが、私はPublic Private Partnership(所謂PPP)を活用したインフラ整備推進を担当しております。ASEAN事務局がジャカルタにある関係でERIA事務所もジャカルタ市内に開設しています。
私はスハルト体制崩壊の頃まで長くインドネシアを担当しており、その後約10年間現場を離れておりましたが、リーマン・ショックの後のジャカルタに再び戻って見てその変貌ぶりに驚かされました。
今やリーマン・ショック直後に比較すると株価は3倍近くに上昇し、中間層が増え、消費が拡大し、スハルト時代に海外逃避した資本がどんどん戻りつつあり、為替は強含みながら輸出も伸びているという優等生国家に変貌しています。
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Apartment Plaza(高級マンション) 共有の庭とプール
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「Senayan City」 ショッピングモール |
インフラ整備は生産性を高めるためにも、又民主主義を助長するためにも欠かせない要素であり、PPPは有り余る民間資金を活用してこれを進めるための方策として注目されていますが、そうは言っても一般に経済的リターンの限られる(或いは無い)インフラ事業に民間資金を導入するというところに基本的な難しさがあり、従ってそれを克服するための制度や手段を開発し各国に広めるということが必須であるとの認識の下活動を続けています。
それと今回アセアンやインドシナ半島各国を回って感じるのは、やはり中国と韓国のプレゼンスが10年前に比べてはるかに拡大していること、特に人口では日本の半分以下の韓国の人々がジャカルタにもバンコクにも日本人の何倍もいること(これは前任地米国でも同じでしたが)です。
テレビのチャンネルなど日本はNHKの海外版一局しか入りませんが、大体どの主要都市でも中国は5〜6局、韓国でも2〜3局入ります。これだけ見ても如何に日本人が内に篭っているか、又、放送業界がさぼっているかを痛切にに感じます。
日本はこれから人口が減り、国内消費は減退し、若者は国内志向になっていると言われており、従って我々ロートルがまだ海外に出張って稼ぐしかないのかとも思いますが、やはり日本としては発展する東南アジアに特に生産分野での活動拠点を移すことでその技術力/資本/経営の付加価値をより高め、リターンを日本に還元することで日本のGDPなりGNPを高めることが肝要と思います。その為には若い人ももっと外に目を向けどんどん出て行って欲しいと考えます。都市国家とは言えシンガポールとブルネイに一人当たりGDPで水を空けられている現実には寂しさを感じます。
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