|
サワラの採卵
|
調査船で夜の海に出掛けて、漁船から獲れたばかりの親魚をもらい、船の上で人工授精を行います。これを使って種苗生産が行われ、陸上の水槽で全長4cm程度の稚魚が育てられたあと、さらに放流効果を高めるため、海面施設などで中間育成を行い、10cm程度の大きさにして海に放流します。稚魚の放流だけでなく、漁業者たちの漁獲制限についても、関係府県間で協議を重ね、ここ数年で資源量は増加傾向にあります。皆さんが、最近、口にされたサワラの中には、香川県で育てられ放流されたものが混じっているかもしれません。
|
タケノコメバル
|
一方のタケノコメバルは、あまりなじみのある名前ではないかもしれません。この魚も、昭和40年頃まではごく普通に見られた魚のようですが、その後激減し、最近ではほとんど姿が見られなくなりました。メバルの仲間としては大型の魚で、大きいものでは全長40cm、体重1kgにもなります。比較的浅場の藻場周辺で生息しているので、釣りをされる方には人気の魚のようです。このタケノコメバルも、香川県の水産試験場で種苗生産の試験を重ね、稚魚の放流や養殖の試験が行われています。私も同僚たちと共に、飼育に携わってきました。近い将来には、皆さんの食卓にも姿を見せることができるのでないかと期待しています。
マスコミに取り上げられることもありますので、サワラやタケノコメバルの名前を聞くことがあれば、水産試験場の仕事ぶりも見てやってください。残念ながら、私自身は突然の人事異動で4月から水産試験場を離れてしまい、少し違った視点から水産に取り組むことになりましたので、姿を見せることはないと思いますが・・・
|