● ワールドリレー ●

世界で活躍する同窓生からのメッセージ(敬称略)

岸本 豪 (平成 5年卒) アメリカ ボストン在住

学校の廊下から見たチャールズ川とボストン。
今の時期は景色が非常に美しい。
ただし冬は一面雪と氷で覆われる。


 同窓生の皆様、こんにちは。私は現在、MIT(マサチューセッツ工科大学)のMBA(経営学修士)課程で経営について学んでいます。朝日高校を卒業して既に12年が経ちましたが、この年になってもまだ学生でいる珍しい同窓生として今回寄稿させて頂くことになりました。

 私が住んでいるボストンはアメリカ東海岸に位置する歴史のある町で、MITの他にもハーバード大学、ボストン大学など50を超える大学が集まる大学の町でもあります。コンパクトにまとまった歴史のある町並みは京都のそれに通じるところも多く、ボストンが京都と姉妹都市なのも十分にうなずけます。


MITのシンボル、Great Dome。

 
 さて、まだ学生でいると申し上げましたが、さすがに朝日高校を卒業してからずっと学生だったわけではありません。MITに入学する前は、某通信会社に5年間ネットワークエンジニアとして勤務していました。当時の仕事は非常に充実していたのですが、研究開発と会社経営の橋渡しができる知識を身につけたいとの理由からMBA取得を志望し、昨年の夏から海外留学生としてこちらに派遣されました。日本でも大学院(工学修士)を修了しているので、これが2度目の大学院になります。

 MBAはMaster of Business Administrationの略で、企業経営に関する知識を学ぶための修士課程です。理論より実践的な内容を重視する傾向があり、大学院というよりは職業訓練校と呼んだほうがふさわしいかもしれません。MITのMBA課程は2年間のコースになっており、入学後半年間はあらかじめ割り当てられた6名のスタディーグループで必須科目(経済学、会計、統計、組織論)をこなします。その後スタディーグループは解散され、各自の目的に応じた選択科目を履修するようになります。今年2年生になった私はTechnology Management(技術経営)やEntrepreneurship(起業)の分野を重点的に学んでいます。

半年間苦楽を共にしたスタディーグループのメンバー。
右から日本人(筆者)、スペイン人、
中国系ブラジル人、中国系アメリカ人、
アフリカ系アメリカ人、イタリア系アメリカ人、ペルー人。

 スタディーグループをご覧になるとお分かりの通り、MBAの学生は非常にバラエティに富んでいます。アメリカにある学校にも関わらず、アメリカ国籍を持たない、いわゆる外国人学生は全体の4割を占めます。国籍や宗教はもちろん、経歴も多種多様で、社長の経験を持つ学生はそれほど珍しくありません。 変わったところでは、数学オリンピック出場経験者や某国のプリンセスも在籍しています。

 さて、「世界で活躍する同窓生」というこのコーナーのタイトルの通り、私はこういった様々なバックグラウンドを持つチームメートをぐいぐいと引っ張って、授業でも積極的に発言して大活躍している…と書きたいところなのですが、残念ながらそうでもありません。

 一番の問題はやはり言葉です。受験時に受けた英語の試験(TOEFL)の勉強程度では、ネイティブスピーカーの会話にはほとんどついていけません。特に、組織論や企業戦略といったディスカッションが中心の科目では、日本語でも難しい内容を英語で理解し発言しなければならないため、非常に苦労しました。また、得意なはずの数学系の科目でも、私なんかよりはるかにできる学生ばかり。結局、授業では「世界でも活躍できない同窓生」になってしまいました。お恥ずかしい限りです。これを読まれている高校生の皆さん、英語だけはしっかり勉強することをお勧めします。

 授業ではさっぱり活躍できない私ですが、課外活動ではそれなりに活躍の場を見出していますので、その一例を紹介いたします。MITでは、MBAの学生を対象としたC-Functionと呼ばれるパーティーが毎週行われます(授業の一部かと思うほど、パーティーの類は頻繁に行われます)。特定の国や地域がテーマのC-Functionも多く、先日行われたC-Functionのテーマは「Japan」でした。

MBAの学生でごった返すJapan C-Function。
600人以上のMBA学生とその家族が参加した。

このパーティーで、私を含めた総勢18人の日本人学生は次のような企画を用意しました。
 ・ 日本食(お寿司、焼きそば、竜田揚げなど)の提供
 ・ 餅つきのデモンストレーションと、つきたてのお餅の提供
 ・ 書道(外国人の名前を漢字の当て字で書く。ラテン系の学生には特に人気)
 ・ 浴衣(外国人に浴衣を試着してもらう)
 ・ カラオケ大会
 ・ マツケンサンバの披露

どの企画も非常に好評で、パーティーを大いに盛り上げることができました。

 私自身も楽しんだ上に、多くの友達から「Japan C-Functionが数あるC-Functionの中で最も楽しかった」と喜んでもらうことができ、非常にいい思い出になっています。
盛り上がるC-Functionの様子を写真を収めましたので是非ご覧ください。

餅つきのデモンストレーション。
この後、外国人学生も餅つきを体験。
自分でついたお餅を恐る恐る口にする外国人学生
(右2人)。あんこは気に入ったようだが、
大根おろし醤油の味は彼らの理解を超えるらしい。

↑この日のために3ヶ月間練習したマツケンサンバを
披露する日本人MBA学生。観客は釘付け。→


 以上、簡単ですがボストンでの活躍(?)ぶりを紹介させていただきました。卒業そして帰国まであと8ヶ月程となりましたが、残された時間をさらに有意義に使いたいと思っています。なお、MBAやボストンでの生活にご興味を持たれた方はご連絡頂けると幸いです(メールアドレス:tkishimoto@sloan.mit.edu)。MITのMBAについては、日本語で書かれた非公式ページ(http://web.mit.edu/sloanjapan/101/)もありますのでこちらもご利用ください。
 
岡山朝日高校同窓会公式Webサイト