● ワールドリレー ●

世界で活躍する同窓生からのメッセージ(敬称略)

寺岡 敬 (昭和50年卒) ドイツ ミュンヘン在住

ミュンヘン市のオペラ座

 早いもので朝日高校を卒業してから30年が経ちました。先般、休暇帰国した際に、1月2日に行われた朝日・操山・大安寺の昭和50年度卒業生合同同期会に出席させて頂き、高校時代の同窓生のみならず、中学校、小学校、さらに幼稚園時代の旧友と再会することが出来、楽しい思い出となりました。このような素晴らしい会を企画してくださった三校の幹事の皆様に対し、改めて御礼申し上げます。

 現在、私はドイツ南部のミュンヘンにある日本国総領事館に勤務しておりますが、実はミュンヘンの勤務はこれが2回目です。外務省に入省し、ドイツの大学で2年間の在外研修を受けた後、最初の海外勤務地として配置されたのが在ミュンヘン総領事館でした。当時は在留邦人や日系企業の数も少なく、日本レストランも市内に2軒だけという状況でしたが、現在では、在留邦人数は約2,000人に増加し、寿司や日本食もドイツ人の間ですっかり浸透し、日本食レストランも数多く営業しています。

ミュンヘン市内のマーケット

 在ミュンヘン総領事館は、ドイツ連邦共和国を構成する16の州の内、ミュンヘンが州都であるバイエルン州と、隣のバーデン・ヴュルテンベルク州に住む約8,900名の在留邦人の方々に対する、各種手続きやパスポートの発給、お仕事や文化活動等で日本に渡航されるドイツ人やそれ以外の国の方々へのビザの発給といった業務を行っています。いわば、南部ドイツの日本人村の村役場といったところです。

 ミュンヘン市を始めとする南部ドイツには世界的に有名な観光地も数多くありますので、皆様の中にはすでに観光で当地を訪問された方も多いのではないかと思いますが、長い歴史と独自の文化を誇る南部ドイツとの文化交流を促進するのも総領事館の仕事の一つであり、総領事館が主催して日本文化紹介のための催し物を行ったり、当地の文化団体が行う日独交流のための文化活動を支援したりしています。

ミュンヘン市庁舎

 南部ドイツ地域は、かつては豊かな農業地帯として有名でしたが、ここ2〜30年の間に、ドイツ有数のハイテク工業地帯に変貌しました。ミュンヘンには自動車のBMW、電気機器のジーメンスといった世界的に有名な企業が本社を設置しており、電子機器、家電、自動車部品、薬品といった分野の日系企業も多数進出しています。これらの日系企業がよりよい環境で企業活動が出来るように、お手伝いをするのも総領事館の仕事です。ドイツも日本と同様に人口の高齢化、少子化、労働コストの上昇に伴う産業の空洞化といった問題を抱えていますが、良好な生活環境、治安の良さ、高度に整備された経済インフラ、また、経済成長著しい東欧諸国に地理的にアクセスしやすいという利点を備えている南部ドイツ地域に、ますます多くの日系企業に進出して頂けることを期待しています。さらに、ミュンヘンにおいては、産学協力を積極的に進めているミュンヘン大学やミュンヘン工科大学もありますので、今後、日本との研究開発の分野での交流も盛んになることも予想されます。

バイエルン州政府の建物

 妻(昭和53年度朝日高卒業生)、長男と一緒にミュンヘン赴任して2年5ヶ月が経ちましたが、妻はドイツ語やバイオリンのレッスンに励み、長男は当地の日本人学校で学校生活をエンジョイしています。海外での勤務としては、これまで、ミュンヘン総領事館以外に、在ドイツ大使館(ボンがドイツの首都であった当時)や在ガーナ大使館に勤務したことがありますが、大きな事故や病気に見舞われることなく、国毎に異なる風俗・習慣に驚き、戸惑いながらも、概ね平穏に過ごしてこられたのは家族の支えがあったからだと思っています。


 郷里の岡山で学生時代を過ごした学校の内、弘西小学校と旭中学校は学校の統廃合によって、その名前は歴史の中へ消えてしまいましたが、昨年創立130周年を迎えた朝日高の名前は益々輝いているように思えます。今後の朝日高及び同窓会の発展を心よりお祈り致します。

 
 
岡山朝日高校同窓会公式Webサイト