● 北から南から ●

全国で活躍する同窓生からのメッセージ(敬称略)

丸山 万里子(昭和31年卒) 広島県福山市在住

財団法人遺芳文化財団
「日本はきもの博物館」「日本郷土玩具博物館」館長


母の日に孫たちと

 「日本はきもの博物館」「日本郷土玩具博物館」館長の丸山万里子です。今年は、夫で前館長が亡くなって丁度8年目。思いがけず、私が館長になって約8年経ったというわけです。

 博物館の方は「はきもの」が25周年、「郷土玩具」が10周年を迎えました。
 福山市は広島県の一番東に位置し、岡山県とは隣り同士ですが、岡山の方々にとっては、西にあることもあり、行くのは億劫という印象を持たれている方も多いのではないでしょうか。

 私の博物館はその福山でも西、尾道寄りの松永という所にあります。何故松永にそのような博物館があるのかと疑問に思われる方が大部分でしょう。「はきもの」だけの博物館なんて、日本でただ一つなんです(世界で、〜が24とか・・・1997年)。

 松永で下駄生産が始まったのが明治11年(1878)。安い材木を使い、様々な機械を導入また発明して、日本一の下駄産地になりました。昭和30年代までは、日本人のはきものとしては、普段は下駄が主流だったのです。ところが、生活様式の変化などで、下駄生産は下降の一途をたどります。創業者の家に生まれて、下駄生産から撤退することを決めた夫は、先人達の足跡を残すため、創業100年を記念して「はきもの」の博物館をオープンしました。

足あと広場

 現在、日本のはきもの約11,000点(内、2,266点が国の重要有形民俗文化財に指定されています)、外国のはきもの約2,000点を収蔵し、常設展として約1,500点を展示しています。平成6年に、併設の日本郷土玩具博物館をオープンしました。日本人が古くから愛玩してきた郷土玩具も、プラスチックやコンピューターの玩具の前に消えようとしています。約50,000点のコレクションの内15,000点程を常設して展示しています。両館合わせて年5回の企画展示を行っていますが、今は「夏祭り」の郷土玩具を特集しています。

 その他、うちのご自慢は、岡本太郎さんがデザインされた「足あと広場」と国の登録有形文化財のコーヒーハウス「サボ」です。足あと広場は、岡本太郎の作品の中でも、足で踏まれる作品であるという点でもユニークです。先生もこのために4度足を運ばれました。アラーキー荒木経惟さんの作品集にも取り上げられ、私と孫もその写真集に顔を出すという光栄に浴しました(『アラーキーのタロー愛』光文社刊)。

 コーヒーハウス「サボ」は、大正11年(1922)に丸山茂助商店営業所として建てられたもので、地元の大工さんが洋館に挑戦して、当時のハイカラ趣味と日本古来の細工へのこだわりがドッキングした、興味つきない建物です。開館当時は博物館の研究室でしたが、10年前日本郷土玩具博物館がオープンした時、大正ロマンあふれる内装を取り入れてコーヒーハウスとして一般に公開しました。

国登録有形文化財「コーヒーハウス・サボ」

 博物館の経営は苦しいのですが、来て下さった見学者の「こんな田舎(?)にこんな博物館があるなんて!!」などの声を励みに、又、学芸員達のがんばりに感謝しつつ、館長職をつづけています。

  福山には、旧岡山一中時代からの卒業生も多くいらっしゃるとは思いますが、「福山朝日会」というのがあります。外科医の大田浩右先生(先日、奥様の祥子先生をエベレストで亡くされました)を中心とした集まりで、2〜3年に一度会を開いています。前回は、朝日の校長先生をお招きし、最近ダントツの母校の大学受験結果などお聞きし、大変誇らしく、又、羨ましく思いました。

 岡山からJRで約1時間、車で山陽道を使って(福山西ICより)も約1時間で来られる二つの博物館探訪に一度お越し下さい。メールマガジンも発行しています。


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