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● 北から南から ● | |
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出田 基子 (旧姓久城 昭和40年卒) 北海道在住 | ||||||||||||
命の糧 心の糧は 大地から 大地は母 ミルクは命のしずく 北海道は十勝、清水町に、私の牧場がある。北に大雪連山を望み、眼前に十勝平野がひろがる、総面積74ヘクタールの出田牧場には、130頭のホルスタインと、ラブラドールのラブと、猫がだいたい30匹いる。70頭が搾乳する牛で、1年間に70頭の子牛が生まれ、550トンの牛乳を出荷している。
岡山大学学生時代、卓球部の先輩と、「自分たちの牧場を作る」夢に賭けた。 不可能と言われながら、二人で資金作りから始め、昭和50年に北海道に来て、2年後、離農跡地に新規入植できたのだった。 4人の子供達を育てながらの牧場生活は、忙しく、楽しく、無我夢中で26年が過ぎてしまった。今では、長男大が後継者として夫の片腕となり、次女朝子は、近くの畑作農家の後継者と結婚して、我が家にも手伝いに来てくれる。長女牧子はロンドン在住、次男郷は、来年からオランダに留学する。
牛は、放牧すると、自分で考え、行動する。歩くためにある丈夫な足腰と蹄、歩くハーベスターといわれる口、デリケートな五感と頭脳、その能力のすべてを発揮して、生き生きと暮らしている。だから、牛に出来ることは牛に任せる。私たちは、牛に教えられながら、彼らに出来ないことだけを手伝ってやる。牛を牛らしく、幸せにしてこそ、人間も幸せになれるからだ。 牛は、人間が食べることが出来ない「草」を食べて、草の蛋白質を、人間が食べることが出来る肉や牛乳の蛋白質に変えてくれる、すばらしい動物なのだ。
その特性を生かし、世界の飢餓人口が増加している今、人間の食料と競合する穀物にたよらず、この大地から生えた牧草主体のえさで、安全で良質な牛乳を、低コストで生産することを理念としていることも、出田牧場の特徴である。 日本の食料自給率は下がり、安い輸入食料品が喜ばれ、WTO農業交渉で関税の引き下げを迫られ、血のにじむ努力で生産コストを下げても、これ以上生産物の価格が下がれば日本の農業は、壊滅しかねない。
3年前の衆議院議員選挙で、要請があり、北海道11区から立候補して、命の大切さ、食と農の大切さ、平和の大切さを訴えて戦った。今は、花を植え、野菜の種を蒔き、牛飼い家業にいそしんでいる。さわやかな北海道の夏、住宅の窓から牛たちが見える。木々の梢が、草の緑が、光っている。 ◆ご感想やご質問などは、出田牧場 Email に直接お寄せください◆ |