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            | 佐 藤 常 子 染 織 展 ― 自然に寄り添う ―
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                  | 展覧会に寄せて(抜粋) |  
                  | 佐藤常子 |  
                  | 私が織物を始めた頃の日本は、経済の高度成長期であり、生活様式も考え方も変わりつつありました。手仕事による伝統工芸の技も失われていくのではと危ぶまれていた時代、その流れに逆らうように私の染織への思いはふくらんでいくばかり、そして、とうとう一台の機と一冊の手引書、糸を手に入れることができたのです。操山や百間川河畔で集めた染草を煮出して糸を染めてみる。子供が眠った夜の時間を頼りに機織りの工程をこころみる。その日々は創る態度を自らに問う日々でありました。誠実、忍耐、五感で学ぶ。機に座ると何故か心が安らぐ、この感覚は、いにしえから綿々と受け継がれてきた機織りという手仕事の持つものであるのかもしれません。 秋色の染糸を織り込んだ私のはじめての作品「野」は、私を伝統工芸の道へ誘ってくれました。そして多くの方々との出会いも作ってくれました。染織の師を持てなかった私には様々な分野の先生方からいただいた一言一言が私の本当の師であるように思われました。ものの見方、創る姿勢、心の在り方をその一言に学び、私自身に今も問つづけています。
 繭から引いた絹糸、草木実根から得た色、どちらも生きようとしているものの命と引き換えにいただいたものです。慈しまなければなりません。それらの素材に私の思いを託して、「身に纏えば優しい気持ちになる着物」をつくりたい。着物という象(かたち)のなかに織るという手仕事で描く私の心象表現であるかとも思っています。
 
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            | 佐藤常子 略歴 |  
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                  | 昭和13年(1938) |  | 岡山市に生まれる |  
                  | 昭和32年(1957) |  | 岡山県立岡山朝日高等学校卒業 |  
                  | 昭和34年(1959) |  | 女子美術大学短期大学部卒業 |  
                  | 昭和35年(1960) |  | 結婚 36年長女 40年長男誕生 |  
                  | 昭和46年(1971) |  | 染織を始める |  
                  | 昭和49年(1974) |  | 初めての作品「野」が岡山県美術展覧会で岡山市長賞を受賞 |  
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                  | 岡山県美術展覧会― 岡山市長賞、岡山県知事賞、山陽新聞社賞など受賞 日本工芸会中国支部展― 岡山市長賞、日本工芸会理事長賞、日本工芸会賞など受賞
 日本伝統工芸染織展 入選17回
 日本伝統工芸展 入選12回
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