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世界で活躍する同窓生からのメッセージ(敬称略)
中原 功次  (昭和62年卒)  香港

3度目となる香港の今


 昭和62年、1991年卒業の中原功次です。ホームページで先輩方のメッセージの中に、現在香港でお世話になっている香港日本人商工会議所の柳生先輩のお名前を見つけて、書かせていただくことを大変光栄に思っています。

 さて、私は現在中国銀行香港支店に勤務しております。「3度目の正直」ではありませんが、私が香港に赴任するのは3度目になります。1度目は1996年から他行の研修生として香港に赴任をし、1997年7月1日に中心街で中国への返還カウントダウンの渦の中にいました。その後一旦帰国し、2度目は香港支店の一番若い行員として赴任を経験しました。初めて香港の地を踏みちょうど20年が経ち、2016年の6月に支店長として着任しました。周囲からは余程香港が好きなんだねと笑われていますが、実は本当に香港が好きになってしまっています。

海側から見た街並み 

 20年前と比べて香港はどうか?まず街並みは一層の開発が進んだのが一目瞭然です。当時でも金融街のセントラルには高層ビルが密集していましたが、土地を求めて海は埋め立てられ高層ビルは更に増えています。海を渡った九龍サイドから見る夜景は以前にも増して賑やかになっていますが、一方で香港のトレードマークとも言えるビルから張り出す看板は少なくなっており、少々きれいになったビルを見て、寂しい気もしました。
 
 市内を走る2階建てトラム

 交通の面では地下鉄が延長され新しい路線も増え、郊外とのアクセスが向上しています。路線バスは停留所を案内するモニターがつき、アナウンスが流れるので外国人でも不安なく利用できるようになっています。市内をのろのろ走る2階建のトラムは、今も顕在で当時と変わっていません。

 食の面では、日本食のレストランやラーメン屋が増えています。ラーメン屋は中心街だけではなく郊外にも多く、日本のラーメンは香港で市民権を得ています。ただ、香港での飲食業は競争が激しく、開店後3ヶ月経てば、味が落ちたり、値段が上がったり、中には閉店ということが珍しくありません。ですから「新しくオープンした日本食レストランは3ヶ月以内に行くべし」というのが香港支店での合言葉になっています。

 街で聞こえてくる言葉も変わりました。香港の主要言語は以前と同じく英語と広東語ですが、街中に中国語(普通語)が溢れています。香港の地下鉄やバスでは、広東語、英語、中国語の3通りでアナウンスが流れ、店の店員からタクシーの運転手まで普通に中国語で対応できるようになっています。

 香港空港へ着陸する飛行機の窓から眺めていると海の上に一本の線のように長い橋が見えます。香港、珠海、マカオ(澳門)を繋ぐ港珠澳大橋(こうじゅおうおおはし)です。2009年に着工し、約9年を費やし、2018年に完成する予定のこの橋は主橋部分23km、海底トンネル6.7kmを含め全長が55kmで、世界最長の海上橋です。この橋の完成により香港から高速船で1時間、陸路で4時間かかっていた珠海やマカオが45分で結ばれます。また、2018年9月23日には香港から北に向かって深圳への高速鉄道が開通し、香港-深圳間は1時間から14分に短縮され、香港-広州間は2.5時間から48分に短縮されます。香港の駅に香港と中国の両方の入出国審査場が設置され、一旦香港で列車に乗ればそこからは、中国に入国しているので、深圳や広州のみならず中国の新幹線網に接続され、そのまま中国各地へ移動することが可能です。

 市街地の様子
 これらの都市が含まれるエリアは珠江デルタ(じゅこう)と呼ばれ、珠江という大河によって形成された香港、広州、マカオを結ぶ総面積約42千平方キロメートルにおよぶ三角地帯です。珠江デルタに含まれる代表的な都市を香港との位置関係で説明すると、香港の北に広東省深圳市(しんせん)、東莞市(とんがん)、広州市(こうしゅう)などがあり、河口湾の西対岸に広東省珠海市(じゅはい)とマカオがあります。

 1978年に発表された中国の改革・開放政策によって作られた経済特区を中心に発展が始まり、古くは繊維縫製の加工貿易が盛んでしたが、現在では携帯電話、コンピューター製品などのハイテク製品へとシフトしています。例えばドローンの生産では世界一のシェアを誇り、また中国版ラインともいわれるWeChat(微信ウェイシン)を運営する世界最大のゲーム会社であるテンセント社の本社は深圳にあります。現在では人口も飛躍的に増加し、深圳市1200万人、広州市1400万人、香港740万人などの大都市があり、珠江デルタ一体として4200万人規模になっており、東京首都圏3800万人を抜いて世界一の経済都市圏に発展しています。人件費や不動産価格の上昇など問題も多いですが、今後の更なる発展への期待も高まっており目が離せない地域です。

 海外といっても香港は近く、岡山空港から直行便で4時間です。活気溢れる広東省を、香港を足がかりに見て回ってみては如何でしょうか?東京に新幹線で行く感覚で是非お越し下さい。お待ちしています。

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