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国内で活躍する同窓生(敬称略)
入江達也 (昭和 53年卒)    鹿児島県鹿児島市在住

49歳の挑戦 (いぶすき菜の花マラソン)

いぶすき菜の花マラソン(初出場時) 右側が筆者

 鹿児島に着任して半年ほど過ぎたある日、「鹿児島で仕事するなら菜の花走るのは常識だぞ。いきなりフルは無理だから、とりあえず10キロから始めるんだな。まとめて申し込んだから。」

 すべては先輩のこの一言から始まりました。

 今年(2010年)で第29回となったこのマラソンは、新春最初のマラソン大会として毎年1月初旬に開催されます。

 沿道では地元住民により、鰹節・そらまめ・ふかし芋や豚汁、揚げ句は焼酎のお湯割と、地元の名産品が振舞われ、名前のとおり満開の菜の花の中を「開聞岳」や九州最大の湖「池田湖」などの見事な景観を楽しみながら駆け抜ける、他のマラソン大会では味わえない魅力的なコースで、九州の最南端にもかかわらず、今年は全国から2万人を越える参加者が集まりました。

 また、砂蒸し温泉で有名な指宿は鹿児島を代表する温泉地で、いたる所に温泉があり、走り抜いた後のひと風呂も格別です。

 余談ですが、鹿児島県には足湯なども含めると1000に近い温泉施設があり、そのほとんどがいわゆる銭湯です。言い換えると鹿児島の銭湯はすべて天然温泉です。温泉好きの同僚などは「温泉セット」と称し常にタオル・石鹸を持ち歩き、行く先々で楽しんでいます。

 私の住居の近くにも温泉銭湯があり、気が向くと入りに行きます。360円のなんとも贅沢なひと時です。

 さて、駅前のコンビニさえ車を使う立派なメタボ予備軍の私にとって、10キロとは言え何と無謀な挑戦でしょう。学生時代に体力測定で1500メートルをやっと走った時の苦しさだけを思い出します。

 そんな私を変えたのは、家族の言葉でした。
 「何考えてるの。」「やめときな。」「無理!」「死ぬよ。」

 とうとう父親までが、私の長男が大学受験を控えていたことから、「何かあったら縁起が悪いからよせ。」と言う始末。ここまで言われて引き下がれるか。人生50年近く生きてきて、一度たりとも「目標を定め、計画を立て、努力し達成する。」などという成功体験の無い男の、人生最初のチャレンジが始まりました。

 まず目標設定。「制限時間90分以内で完走」無難というか最低の目標。
 次に計画。「スポーツクラブのランニングマシーンで、とりあえず30数年前に走った1500メートルからスタートし3ヶ月で徐々に10キロ走破まで持って行き、ペースを掴む。」

 後は努力。若い女性インストラクターから「自分に負けないでください!」と励まされたときは、「このやろ、人生50年負け続けた男の気持ちがわかってたまるか。」と心の中で返しつつも、週3回のクラブ通いでは「どんなに苦しくても昨日より1メートルでも長く走る。」を実践。 そして、センター試験直前の長男に、「いいか。お父さんは必ず10キロ走り抜くからな。お前も後に続いてがんばれ。」と自ら退路を断ち、平成21年1月11日の朝を迎えました。

平成22年2月 珍しい雪化粧の桜島

噴火

 

灰の収集場

灰出し袋

 天候くもり・気温9度・湿度45%・西南西の風3.6m。絶好のコンディションと仲間の声援に励まされ、1時間11分で無事完走。しんどかったです。努力は決して裏切らないことを、この歳で始めて実感しました。 走り終えて気づいたのですが、地元の名産品が振舞われるのはフルマラソンコースで、10キロは給水所が一箇所だけ、商店街の中をただひたすら走る、ガチンコ勝負でした。

 その後、「桜島ランニング大会」で10キロを1時間5分で完走し、今年の菜の花ではいよいよ1時間切りにチャレンジしたのですが、減量の失敗と、下り坂でのダッシュで膝がガクガクになり(ちなみに下り坂のダッシュは初歩的なタブーだそうです)記録後退でした。走る楽しさなんかありません。苦しいだけです。

 ただ、他では味わえない走り終えた時の達成感。そして温泉と何よりも最高にうまいビール。来年も出場します。そして鹿児島在任中にフルマラソンに挑戦が夢です。

朝日高校仮装行列での私です。ご先祖様と
偽って携帯電話の待受けにしています。

 鹿児島に転勤が決まったときに言われました。「風光明媚で温泉めぐり、人が良いから仕事はし易い。食材豊かで何を食ってもうまいし、そして焼酎。鹿児島はいいぞ。ただし、桜島が噴火しなければな。」

 20年間程おとなしかった桜島が、私の着任を待っていたかのように騒ぎ出し、今年に入ってからの噴火回数は699回(2010年8月5日現在)。このペースで噴火を続けると年間1000回超えは確実と思います。

 風向き次第では降灰が街を覆います。大袈裟に聞こえるでしょうが、目も開けられず、ハンカチで口を押さえて息もできず、服は真っ白。 いったん積もった灰は雨が降るまで町中に漂い、当然洗濯物は室内干し。まったく閉口します。  鹿児島にはゴミの収集場とは別に、灰の収集場があります。市から専用の灰出し用の袋が配られ、降った灰を集めて出します。

 悠々と噴煙を上げる桜島、明治維新の多くの英雄を送り出した歴史遺産、豊かな食文化とうまい焼酎、そしておもてなしの心。鹿児島の魅力は語りつくせません。 そして来春、鹿児島が近づきます。九州新幹線の全線開通により新大阪・鹿児島中央直通の「さくら」に乗れば、岡山から3時間です。

 ぜひ、桜島を望みながら温泉に浸かり、黒豚しゃぶしゃぶとうまい焼酎を味わいにお越しください。

 

   
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