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世界で活躍する同窓生からのメッセージ(敬称略)
山原 信  (昭和51年卒) オーストラリア パース

 

パースにて

4度目の出漁で伊勢海老を2尾捕獲

 当地に赴任して1年3ヵ月が経ち2度目の春を迎えています。伊藤忠商事に入社し、最初の海外駐在が米国のニューヨーク(’87-90年)とサンフランシスコ(’90-93)でした。

 最初の海外駐在を終えて帰国して以来13年が経ち、2度目のお努めがあるかも知れないことなどすっかり忘れていた昨年の1月、昼食後に居眠りしていたら突然上司に呼ばれ、パース行きを告げられました。

 パースってどこ?恥かしながらかろうじて名前だけは知っているという状態でした。家族に告げたら、「お父さん、身体に気をつけて頑張ってね。」とやさしく送り出され、気ままな単身赴任が始まりました。

 当地にはアルミニウムの原料となるボーキサイトが豊富にあり、半製品であるアルミナの精製工場がいくつもあります。伊藤忠は双日と共同でそのうちの一つ、ワースレー・アルミナに合弁パートナーとして参画しており、私はその日本側出資会社の現地代表として勤務しています。

 商社の仕事は、私が入社した当初は日本企業の輸出入の代理店として取引を仲介し、手数料を得る形態が主でした。ところが最近では単純な仲介では商売が成り立たず、それなりのリスクを取って出資し、出資割合に応じて資源・製品を引き取る形態が増えてきました。国内に資源の少ない日本のために必要な資源を確保する役割を担っているわけです。

工場の全景 ボーキサイト鉱石の積込(小松製作所製105トンダンプへ)

 ワースレー・アルミナは現在年間350万トンのアルミナを製造しています。これは世界全体の生産量7,500万トンの4.7%にあたります。350万トンのアルミナから175万トンのアルミ地金を精錬することができますが、日本全体の新地金(再生分を除いています)の消費量が約220万トンですので、日本で使う量の8割方を賄う量になります。ちなみに1トンのアルミナを精製するのに10ギガジュール強の熱量を使います。これはカップラーメン25万杯分のお湯を沸かす熱量です。また、1トンのアルミ地金を精錬するのに15,000Kwhの電力を使います。これは一般家庭3年分の電力消費量に相当します。アルミは電気の缶詰といわれるゆえんです。

 パースがどのようなところかは他の観光案内などにお譲りするとして、私として特筆すべきはダイビング、それからアワビと伊勢海老捕りです。インド洋まで車で20分足らず。せっかくだからダイビングでもするかと軽い気持でライセンスを取ったところすっかりハマりました。

Rottnest島にて息子とダイビング インド洋の夕暮れ アワビ

 「初めて泳いだ海の底、とっても気持ちがいいもんだ」と泳げたいやき君の気分もさることながら、伊勢海老に魅了されました。西豪州ではプロの漁師だけでなく、一般の人もライセンスを買えばルールを守って漁をすることができます。

 アワビはパース近郊では11-12月はじめの日曜日のみ6日間、朝7時から8時までの1時間だけ採ることができます。1日の限度は20個まで。また、伊勢海老は11月15日から6月末まで1日8尾まで獲ることができますが、昨シーズンは14回出漁して獲ったのは6尾のみ。海底の岩の下に潜む伊勢海老を探すのですが、見えているのに届かない、なかなか獲れない。それでも獲ったときの豪快な手ごたえがたまりません。

スワンリバー。夜ここで蟹と海老を獲ります 川で獲れた蟹と海老 スワンリバーの夜明け

 たまにアザラシが興味深げに見物にきたりします。伊勢海老のシーズンが終わっても、スワンリバーのナイトダイブでワタリガニとエビ漁ができます。水深15メートル、真っ暗な川底でくつろいで居ると前世は水棲生物だったに違いないと確信します。

ゴルフ場のカンガルー スワンリバーという名前
の由来となっている黒鳥
カンガルーポー(カンガル
ーの前足)という野草  
オージーフットボール

 当地では数千人の在留邦人がいるそうです。ワーキングホリデーの若者がたくさんいます。私のような駐在員とその家族、永住してレストランなどのお店をやっている人、引退して老後を楽しんでいる人、豪州人と結婚した人、その後離婚した人、日本国籍を持っている人、放棄した人。人生いろいろ。

 海外から国内をみると「島国根性」という言葉をつい思い出すこともあります。意外なところで朝日高校の同窓生に出会い、世界は狭いと感じることもよくあります。
 では、近いうちに世界のどこかでお会いしましょう。


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